饋電盤(き電盤)とは?受変電設備の中での役割を解説

「饋電盤」という言葉を目にして、「この漢字、なんて読むんだろう?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
饋電盤(き電盤)は、高圧受変電設備において重要な役割を果たす設備です。高圧分岐盤とも呼ばれ、受電した高圧電力を別の変電室や設備に分配する機能を持っています。
将来の増築計画や施設の拡張を見据えた電気設備の設計において、この饋電盤の選定は非常に重要なポイントとなります。適切な機器選定を行わなければ、後々のトラブルや追加コストの原因となってしまうこともあるのです。
どうですか?あなたも高圧分岐について検討中ではありませんか?
高圧饋電盤の基本構成と検討すべき重要ポイント

高圧饋電盤の検討において、まず理解しておくべきは基本構成です。饋電盤には主に「開閉器」と「継電器」という2つの重要な要素があります。
この2つだけ?もっと複雑なものだと思っていましたよ。
実は、基本的な検討事項はシンプルです。必要な条件を決めて、それに合った機器を選定するだけなのです。しかし、その選定基準や組み合わせによって、安全性やコスト、機能性が大きく変わってきます。
開閉器には主に「VCB(真空遮断器)」と「LBS+PF(限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器)」の2種類があります。それぞれ特性が異なり、求める機能によって選定が分かれます。
では、これらの開閉器の違いや選定基準について、もう少し詳しく見ていきましょう。
開閉器の種類と機能比較
開閉器を選定する際は、必要な機能と設置条件を考慮する必要があります。主な判断要素として、以下の項目が挙げられます。
必要な条件VCBLBS+PF 過電流保護〇× 短絡保護〇〇 時限協調・投入時限〇× インターロック〇× コスト高い低い
この表を見ると、VCBは多機能だがコストが高く、LBS+PFは機能が限定的ながらコストが低いことがわかります。
結局、どの機能が必要なのかがよくわからないんですよね…
それでは、各機能の目的について解説していきましょう!
過電流保護の目的と必要な機器構成

過電流保護とは、高圧受変電設備の負荷側で過電流が発生した場合に、故障部分のみを切り離し、他の機器や系統への波及事故を防ぐ機能です。
短絡電流や過電流が発生すると、計器用変流器(CT)を通じて過電流継電器(OCR)がこれを検出します。そして検出信号を遮断器(CB)に送り、系統から切り離す仕組みになっています。
難しいですね…
簡単に言うと、「大きな電流が流れたら、その回路だけを遮断する機能」です。これにより、他の系統への影響を防ぐことができるんですよ。
過電流保護に必要な機器は以下の3つです:
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計器用変流器(CT)
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過電流継電器(OCR)
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遮断器(CB)
LBSを使用した場合、過電流継電器が検出信号を送っても、LBSは動作させることができません。つまり、過電流保護が必要な場合は、必然的にVCB(真空遮断器)を選定する必要があります。
過電流継電器(OCR)の役割
過電流継電器(OCR:Over Current Relay)は、電路の短絡や過電流による短絡電流・過電流を変流器により検出し、設定した電流値に達すると動作する継電器です。
OCRは、設備や機器を過電流から保護するために重要な役割を担っています。特に高圧受変電設備では、過電流による機器の損傷や火災を防ぐために不可欠な機器です。
電気設備の安全を守る番人のような存在ですね。
地絡保護の目的と必要な機器構成

地絡保護とは、地絡事故が発生した場合に、故障部分のみを切り離して他の機器や系統への波及事故を防ぐ機能です。
地絡事故が発生すると、地絡継電器(GR)がこれを検出します。検出信号は遮断器(CB)に送られ、系統から切り離されます。これが地絡保護機能です。
地絡保護機能が必要な場合、CB(遮断器)と地絡継電器(GRまたはDGR)、そして零相変流器(ZCT)が必要になります。
実際の現場では、高圧ケーブルとクレーンの接触事故や、小動物がケーブルをかじるなどの事故が発生することがあります。
想像してみてください。工事現場でクレーンが誤って高圧ケーブルに接触したら…。
このような事故から設備を守るために、地絡保護は非常に重要なのです。
地絡継電器の種類と選定基準
地絡保護には主に2種類の継電器があります:
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地絡継電器(GR)
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地絡方向継電器(DGR)
地絡継電器(GR)は、高圧ケーブルの接触事故リスクがある場合に設置します。特に、ケーブルが地中埋設されている場合や、設置場所が別の場所にある場合に有効です。
一方、地絡方向継電器(DGR)は、高圧ケーブルの距離が長い場合や、もらい事故(他の系統からの地絡電流による誤動作)が懸念される場合に設置します。
方向性と無方向のコスト差はそれほど大きくないので、迷ったら方向性のある継電器を選定するのが無難でしょう。
機器の組み合わせと選定方法

機能は理解できたけど、結局何をどうしたらいいんだろう?
学んだ機能が必要かどうかを、案件ごとに判断する必要があります。全体の構成と施設の重要性を考慮して、適切な機器を選定しましょう。
よくある設計パターンを見ていきましょう。
保護継電器選定のパターン
必要な機能と、それに対応する機器の関係は以下のようになります:
必要な機能必要な機器 地絡保護GR 地絡保護(もらい事故防止)ZCT + DGR 短絡・過電流保護CT + OCR
これらの機能を実現するための開閉器の選択肢は以下の通りです:
設置条件VCBLBS+PF 過電流保護〇× 短絡保護〇〇 時限協調・投入時限〇× インターロック〇× コスト高い低い
この条件を基に、何を求めるかを判断して機器を選定していきます。
地絡保護機能の選定基準
地絡保護機能は、以下のような場合に地絡継電器を設置します:
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高圧ケーブルとクレーン等の接触事故の可能性がある
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小動物がケーブルをかじるなどの事故が懸念される
-
配線経路で地絡事故が懸念される場合
特に高圧ケーブルが地中埋設されている場合や、別の設置場所にある場合は、地絡継電器を組み込むようにしましょう。
地絡方向継電器の選定基準
地絡方向継電器は、以下のような場合に設置します:
-
高圧ケーブルの距離が長い場合
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もらい事故が懸念される場合
方向性と無方向のコスト差は大きくないので、迷ったら方向性のある継電器を選定するのが安全です。
過電流継電器の選定と継電器が不要なケース
過電流継電器(OCR)は、短絡・過電流保護が必要な場合に設置します。この過電流保護を要求する場合、VCB(真空遮断器)は必須となります。
しかし、地絡保護と過電流保護は電気系統の保護に用いるため通常は設置するものですが、設置義務はありません。以下の条件を十分考慮した上で、継電器を省略することも可能です:
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同じ電気室内にあり、ケーブル事故の発生率が比較的低いと想定される場合
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高圧ケーブルが金属管で保護されており、ひっかけ事故の可能性が低い場合
例えば、受変電設備が屋上にあり、ケーブルが金属管で保護されていてケーブル事故の発生率が低いと想定される場合などは、継電器の省略を検討できます。
ただし、安全性を最優先に考えると、継電器を設置することをお勧めします。
制御が必要な場合の選定
系統に制御が必要な場合、特にインターロックや時限投入が必要な場合は、制御が可能なVCB(真空遮断器)が必要となります。
時限投入が必要になるのは、例えば大型現場などでサブ変電所が複数ある場合です。停電後の復電などで一斉投入すると、励磁突入電流が発生し、主VCBの不要動作が発生する可能性があります。
自転車の漕ぎ始めって重たいですよね。それと同じで、変圧器も起動時には大きな電流が流れるんです。
励磁突入電流の発生を防ぐため、順次投入を行う場合があります。このような制御が必要な場合は、VCBを選定する必要があります。
まとめ:高圧き電盤の機器選定と設置基準

高圧き電盤(饋電盤)の機器選定と設置機器について、重要なポイントをまとめました。
検討すべき項目と機能
開閉器の選定では、VCBとLBS+PFの特性を理解し、必要な機能に応じて選ぶことが重要です:
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VCB:過電流保護、短絡保護、時限協調・投入時限、インターロックが可能だがコストが高い
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LBS+PF:短絡保護のみ可能でコストが低い
機能に必要な機器
各保護機能を実現するために必要な機器は以下の通りです:
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地絡保護:GR(地絡継電器)
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地絡保護(もらい事故防止):ZCT(零相変流器)+ DGR(地絡方向継電器)
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短絡・過電流保護:CT(計器用変流器)+ OCR(過電流継電器)
保護機能の選定基準
地絡保護機能は、高圧ケーブルの接触事故リスクや小動物によるケーブル損傷リスクがある場合に必要です。
地絡方向継電器は、高圧ケーブルの距離が長い場合やもらい事故が懸念される場合に設置します。
過電流継電器は、短絡・過電流保護が必要な場合に設置します。
継電器が不要・省略できるのは、同じ電気室内でケーブル事故の発生率が低い場合や、高圧ケーブルが金属管で保護されている場合などです。
制御(インターロックや時限投入)が必要な場合は、VCBを選定する必要があります。
これらの知識を活用して、適切な高圧き電盤の機器選定を行い、安全で効率的な受変電設備を構築しましょう。
高圧受変電設備の設計・施工において、饋電盤(き電盤)の正しい選定は非常に重要です。将来の拡張計画や安全性、コストのバランスを考慮した適切な選定を行いましょう。
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